「お前もうすぐ誕生日だよな?」
「イエス」
「欲しい物ある?」
「愛」
「常時与えてます」
「雪」
「は?」


「雪が見たい」




そう言ったのは太陽がサンサンと照りつける季節。
シリウスはあたしの隣で顔を歪めてた。






ブルーローズをあなたに





「無理だ」
「言うと思った」
「普通に考えて無理だろ。夏だし」
「わかってます」
「他は」
「何でもいい。100本のバラでも何でも」


次の授業行くから、と言い残してシリウスと離れた。
確かにこの時期、雪を降らせるなど無謀なことだ。
ヨーロッパは記録的猛暑。北欧の国からやってきた生徒はバッタバッタと保健室へ倒れていく。
100本のバラとか言っちゃったけど、100の愛のコトバを言われるよりは嬉しいだろう。






「あれ?リーマス、リリーは?」
「さぁ。知らないよ?」
「おかしいなぁ…リリーは授業サボるような子じゃないのに」
「暑さにやられたんじゃない?」
「そうね…」




その日を境に次の日はリーマス、シリウス、ジェームズ、と次々に授業をサボるようになった。
何してたの?と聞いても「新しい悪戯の計画だよ!」とか「夏バテ」とかしか返してこない。
あたしもそれに対して深くは追究しなかったけど。












「ちゃん誕生日おめでとう!」
「わー!ありがとう」
「あたしからも」
「ありがとー!」


早朝からあたしはプレゼントに囲まれた。
ちょっとかっこいい男の子がバラをくれた。キザっぽかったけど、シリウスもくれるんだったらそんなこと言ってられない。
そう考えていながらも、ピーター(ダウン中)を除く3人を探していた。
一番最初に祝って欲しかった人たち。








「あ、れ…?雪…?」
「嘘っ!こんな暑い時期に…!」



あたしは急いで窓を開けた。
手を伸ばして白い粉に触れる。
瞬く間に水に変わった。



「キレー…」
「すげぇ〜…」


光を集めて舞うそれはダイヤモンドみたいだった。
はっとあることに気づいて辺りを見渡した。




いた。





流れる赤い、マドンナの髪。彼女を箒の後ろに乗せる首席。
優雅に飛ぶ狼男。ゆっくり、あたしに近づく世界一キザな男。





「ハッピーバースデイ、」





声が出ない。このかっこつけ!って言ってやりたいのに。
彼はそんなあたしに後ろに乗れ、と促してくる。




「何泣いてるのさ、!」
「あはは」
「おめでとう、」




夢を見ているようだ。最高の魔法をかけられて。






「ありがとう」





雪が唇に乗って水に溶けた。

















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ブルーローズをあなたに=不可能をあなたに   架音





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