あいつとヨリが戻ってから3日。修兵は学校を休んでいる。メールも電話もない。修兵があたしになにも言わずに休んだことなんて一度もなかった。もっとも、その内容はハラ痛ぇとかダリィとかなんだけど。電話帳の修兵の欄を探して電話をかける。







hide-and-seek







そういえば前にあいつにお前はメールの返事が遅い、とか言われたことがある。返事を一生懸命考えてるうちに次から次へと送られたんじゃ仕方ないでしょ。なのには冷たいな、とか言われてもワケワカメだっつーの。やっぱりあたしは電話のほうが好きだ、うん。ありふれた絵文字なんかよりよっぽど気持ちが伝わるじゃない。そう言うと修兵は俺も、と言っていたとおもう。


おかけになった電話番号は…というアナウンサーみたいなきれいな声が頭の中をいったりきたり。もしかしたら、何かあったのかもしれない。いつも後ろに乗せてくれた人がいないから走って彼の家に向かった。靴擦れがいたい。




ピンポーン



「はい」
「あ、あたし。です」
「…どーぞ」


玄関の扉の向こうにいたのは制服姿の修兵。


「なんで着といて来ないの?」
「あぁ?これ?いちおー着替えたけど行く気になれなくてよー。今茶いれるわ」
「……」


広いリビングにある机の上で修兵の携帯がチカチカと点滅していた。たぶん全部あたしからのものだ。なんで、出なかったの?ずっとここにいたんだとおもう。飲みかけの牛乳が入ったマグカップ。つけっぱなしのテレビ。


「…心配したんだよ」









「は?それどういう意味?」
「いくらかけてもつながんないしあたしに連絡ないから」
「なにそれ。お前別に俺の彼女じゃねぇし」






目の前にいる人が使っている言葉がわからない。何語ですか?意味がわからないよ。仕舞いにはもう帰ってくれとか言われた。何よ、それ。お茶を飲んで話し合うべきでしょう?何でこんなにも機嫌が悪いの?ただあたしは心配だ、と





「俺なんかより恋次を心配しろ」





パシーンという在り来たりな効果音。彼の背はあたしよりもとても高い。だからそんなに痛くなかったかもしれない。でも、殴ってやりたかった。「恋次」あたしはこの人から発せられるその名前が一番嫌い。…こんなのまるで、




「恋次が何よ!あたしが大切なのは、」





携帯が歌った。この曲は、恋次。あいつの好きなバンドの曲で、あいつがいつも歌ってるのと同じ。受話器をあげてもしもし?の四文字が言えない。唇を塞がれて。耳の横でおい、?という恋次の声がこだましていた。















(あー…これほんとにおわるのかなぁ… 20050510)








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