日本人が仕事人間というのは間違いなんかじゃないと思う。私たちから仕事を取り上げたらほかに何が残るだろうか。部屋の片隅に置かれた扇風機が首を傾けてこっちを見る。私からあの人を取り上げたらほかに何が残るだろうか。  はは、生きていけないよ








長い長い休暇をもらった。「くんにはいつも頑張ってもらっているからね」なんて言う隊長に甘え、人よりも一週間は長い休みを取ってしまったのが不味かった。暇すぎて体が腐ってしまいそうなのだ!こんな狭い部屋で何が出来るでしょう?蹴りの練習でもしたら壁に穴があくのがオチってもんです。


というか何よりもあの人に会えないことが辛い。いつもならこの時間、あの人の背中を見ながら仕事をしていて。ちょっとの会話でもまた頑張ろうって思えて。こうしているうちにあの人の顔や優しい声も忘れてしまいそうで。あいたいあいたいあいたいあいたい、








「あれ?さん」
「あら、イヅルくん。暑い中ご苦労さま」
さんって確か休暇中じゃありませんでしたっけ?」
「ああああ、ちょ、ちょっと後輩の様子を見に!」
「(なんて優しい人なんだ!)(先輩の鑑だ!)」




女ってのは大胆だ。つくづく思う。あの人に会いたい一心でなんと本当に会いに来てしまっている。会ったら何て言おうか。御機嫌よう!今日も暑いわね。ダーリン、元気にしてた?いやいやダーリンは無しでしょう!でもあの人のために来たなんて恥ずかしすぎて帰ってしまいたいと思う自分がいる。そんな自分とあいたいあいたいと思う自分が戦っていてこの執務室の扉を開くことが出来ない。入れ!でも恥ずかしい!行けっ!でも…





?」



















待って。少し時間を頂戴。後ろを振り向く前に。さっきなんて言おうとしてたんだっけ?ボンジョルノ?グーテンターク?ああもうだめだ!めいっぱいの笑顔で切り抜けよう。





「久しぶりだな。元気そうじゃん」
「何言ってんの!あたしはいつでも元気満々ですよ!」
「本当かー?俺に会えなくて寂しかったんじゃねぇの?」
「隊長は元気ー?」
「(流された!)」




あーその笑顔。あたしが見たかったもの。あたしのエネルギー源。枯れた雑草に水を注いだようにあたしはむくむくと復活する。プスプスといっていたエンジンが元に戻っていくのがわかるよ。あぁ、ホントにあいたかった





「何かあたしに手伝えることある?」
「今はなーんもないな。ってかあってもせっかくの休暇中の奴に手伝わせるようなことはしねぇって。お前って仕事命だな」
「檜佐木だってそうでしょ。後輩の分引き受けて」
「俺基本的に優しいから!困ってる人は放っとけないのよ」
「お人良しは早く死ぬんだよ」
「え!」


こいつのことは霊術院のころから知っている。優しくて思いやりがあって何事も前向きでそれで隊長を敬愛してて。涙が出ちゃうぐらいだよ、ほんとに。この人を好きでよかった





「つーかここにいれば電気代とが浮くじゃん?」
「(それが目当てですか!)(せっかく感動してたのに)」













もくもく入道雲にミンミンあぶらゼミ。彼らの寿命はあと何日?あたしが休暇を終える頃にはもうその姿はないんじゃないかな。恋する乙女だって同じ。あたしの恋、この夏に賭けてみようか。
床に大の字に寝転がるキミに、




「ねえ檜佐
「なあ、海行こう」
「へ?」
「だからー海。水着ギャルウォッチング…」
「京楽さんと行って来い」




ひどーっと傷ついた表情をする檜佐木。その後ひょいっと起き上がってこっちを見た。起き上がり拳のようなその行動をあたしは上から見下ろしている。




「やっぱといると楽しいわ!」




仲良しコンビというやつですか?嬉しいけど、あたしはそこから一歩抜け出したいのよ。そんなことを思っていたら日にちと時間は連絡するからと言われた。本気で行くつもりだったなんてびっくりした。


もちろん二人きりでしょう?あたしはまたその日まで頑張れそうだ。この小さな部屋の扇風機の前で。あたしは相変わらずあなたに会いたいと思い続ける。








続編はこの手の中









20050723 夏休みはいろんな人にあえなくて寂しい。







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