私みたいな新人にとってここは天国のような場所だ。三番隊の友達は隊長の残す仕事が大変だって言うし、十二番隊の子とは連絡がつかない。(どうしちゃったんだろう)明らかに武術に不向きな私をここは優しく受け入れてくれた。



「おう新人。俺は副隊長の檜佐木だ。よろしくな」


一目見たときから、微笑んで挨拶を交わしたあの瞬間から私はこの気持ちに出会った。落ちることは簡単だ。問題はその後。隠し事は上手い方じゃない。何でわかったのと聞くと顔に書いてある、ということが何度かあった。私の思考は透けているのかもしれない。


「、これ十一番隊に頼むわ」
「じゅ、十一番隊、で すか?」


そこは乱暴でガラの悪い人ばっかりだと噂には聞いていた。友達はこーんな顔の人がたくさんよ!と目尻を吊り上げて教えてくれた。そんなところへ行ってあたしは帰ってこれるのだろうか。(パシリにされたらどうしよう)いや、でもこれは最初の試練なんだ。


「ぃ、行ってきます!!」
「おい、ちょっと待て」
「え?」
「何つーか俺もあそこ最初は苦手だったんだわ。ついてってやるよ」


…私はお礼をすることも忘れるぐらい感動してカカシみたいになってしまっていた。檜佐木さんはとんでもなく優しい。隊員全員にそうしていると言ってしまえばそれまでだけれど、今、この瞬間肩を並べているのは私だけ。紛れもなく私。それだけで嬉しい。それだけで。 通り道、いろんなものを紹介してくれたけれど楽しい会話も詰所の前でストップ。「こっからは自分でな」極度の緊張で喉がカラカラになる。唾を飲み込んで、



「失礼します」








応対してくれたのはオカマっぽい人だった。(美がどーのこーのって)詰所を出ると檜佐木さんがまだそこにいて胃がひっくり返るぐらい驚いた。まさか。待っていてくれたなんて。


「お疲れさん。よくやったな」


にかっと太陽を蹴散らすほどの眩しさで笑い、私の頭を撫でる。彼のせいで胸が、大変なことになっている。(窒息しそうだ酸素を下さい)檜佐木さんは帰るか、と言ってわたしの少し前を歩く。私は広い背中を眺めた。程よく筋肉のついた男らしい、女の私のとは違う腕。その腕に、抱きしめられてみたい。そう背中に投げかける。






あなたがすきです








それは決して許されないこと。なぜなら、






「修兵、ただいまー!!」
「おー!!!お帰り!どうだった現世は?」
「かなり疲れた!!」
「俺んち泊まってく?」
「もー変態!」
「ひでぇな、おい」




彼には愛する彼女がいた。






私の、










「いつも妹がお世話になってます」
「流石お前の妹、飲み込みが早いよ」

















姉。














その存在が


ひどくうらやましい







「久しぶりです、姉さん。副隊長、私、先に戻ってますね」







彼と彼女の笑顔は私を殺す武器になる




それでも、駆け出したこの思いは止まらない











ノンストップ








(………不完全燃焼。プスプス。20050405)








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