もっと早くに気づくべきだったんだ。
いつもは 遊ぼうよシロちゃん!って誘っても めんどくせー って軽くあしらうのにあのときだけは いいぜ って言ってくれたワケを。
「おかえり」
ドジをして転んだあたしに手を差しのべてくれたり、ふだんはあまり呼ばない名前で呼んでくれたり、何の不満も言わずにそばにいてくれたりと、なんだか優しすぎて変な感じはしてた。
日が傾いたころ急に真面目な顔になってシロちゃんは言った。
「俺、死神になろうと思ってんだ」
いくら脳細胞が少ないあたしでも、もう一緒にいられないってことだって気がついてその場から逃げ出してしまった。こういうとき、ふつうは呼び止めてくれるものなんだと勝手に考えていて、そうしてくれなかったシロちゃんを憎くも思った。
あたしのしたことがどんなにシロちゃんを困らせたか。あやまりたくて、もう一度一緒に遊びたくて、シロちゃんの家を訪ねたけれどそこにあたしが求めていた人の姿はなかった。この町から大きなカベを越えて出て行ってしまったんだと思った。
そして今もあたしはその大きなカベを見つめてはため息をついている。何年かかったって追いつけるような相手じゃなかった。平凡なあたしには全く素質がなかったんだよね。いくら待ってもシロちゃんはもう現れない。ちがうせかいのひと。
「お前、俺がいねぇと何にもできねぇのな」
生意気にわらう君に「おかえり」のひとつ、言ってあげたいのに。
(最後のセリフを言わせたかっただけだったり…20050207)
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