シンデレラガール
ある階段の踊り場。ここからは木陰で楽しそうにお喋りをするリリーとジェームスの姿が見える。
「はぁ〜」
「何溜め息ついてんだよ」
「いやぁ、羨ましいな、と」
「ああ、あの二人か」
「いいなー青春だなー」
「ばばくさい」
「う る さ い 」
ある日リリーに聞いてみたんだ。なんであんなに嫌っていたジェームスと付き合うようになったのか。そしたら、
「も恋の魔法にかかったらわかるわ」
って返された。魔法をかけてくれる相手もいやしないのにわかるわけがない。ただ思うのはリリーが幸せそうってこと。ジェームスがそうする力を持っているのが悔しい。
「あたしも恋したいなー…」
「俺にしとけば?」
「女タラシは嫌だ」
「(………!!)」
確かにシリウスはかっこいいよ。頭も良くて優しくて。でもあたしのシリウスへの感情はジェームスへのものと同じで。それ以上には考えられない。
次の授業は何だったかな、と記憶を辿りながら階段を下りようとしたら走っていった一年生とぶつかってよろけてしまった。ヤバイ、落ちるかも。
「!!!」
何 も か も 、 わ か ら な く な っ て い た 。 自 分 の 名 前 を 叫 ば れ た こ と と か 、 抱 か れ た 肩 だ と か 、 髪 に か か る 吐 息 と か 、 感 じ る 体 温 だ と か 。 も う 、 い ろ ん な 感 情 が 頭 の 中 を ぐ る ぐ る と 駆 け 巡 っ た 。 胸 が 早 鐘 の よ う に 鳴 っ て い る。
体 中 が 熱 い 。
早く、シリウスから離れなきゃ離れなきゃ離れなきゃ離れなきゃ離れなきゃ離れなきゃ。自分が自分じゃなくなる前に。背中に回された手を払ってひたすら走った。
「おい、!!」
まだ、胸の鼓動は収まらない。ああこれが、リリーの言っていた魔法なのか。
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愛しのミルコへ 片思いプレゼンツ(?)!!遅くなってごめんね!
続きがあったりします。
20040927
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