くしゅん、と柄にもなく乙女なくしゃみをしたらシリウスに笑われた。(後で酷い目に遭わせてやろう)





無 酸 素 室





「どうしたんだよ?その格好」



頭から足の先までびしょ濡れ。ローブからは水が滴り落ち、絞れそうだ。長く黒い髪は顔に纏わりついて某映画に出てくる貞子って人みたいだ。(シリウスは邦画はわからないんだっけ)



「天文学のレポートで空を見てたらいきなり降ってきて」



あらららら。羽根ペンで書いた文字が滲んじゃってるや。黒から赤い色素が出てきてる。



「早くローブ脱げよ、風邪引くぞ」
「うん」
「これ貸してやる」



これ、と言って差し出されたものはシリウス様々の真っ黒でキレイで濡れていないローブ。あたしがこんなもの着てファンの子たちに袋叩きにあわないかしらね?誰も見てないしあたしは一応(一応って何)シリウスの彼女なんだけど。
よーし着よう!覚悟を決めて袖に腕を通したらシリウスの温もりがまだ残っていた。




「あったかいぃぃ」
「お前手、冷たすぎ」


10本の指が絡みあった。暖炉の火が赤く燃え上がる。その温かさが心地よくて、眠気が襲ってきたから横に座ったシリウスに体ごと預けた。




「今日は積極的ですね、さん」
「いいじゃないですか。たまには甘えたって」
「ならもっと寄れって」



抱かれて感じたシリウスの体温は雨に打たれて冷えたあたしの肌には気持ちよすぎた。



「シリウスー」
「ん?」




「すき」




彼は一瞬だけ目を見開いたけどすぐにいつものクールな切れ目に戻って微笑んだ。







「俺もすき」




部屋にある与えられた酸素の量は同じなのにあたしだけ息苦しいなんて反則だと思う。












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久しぶりに甘い。


20041005


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